2015年5月13日水曜日

放送であげろといわれたので。

ーーー世界観説明
「お?なんだい坊主?迷い人かい?」
「カァー、最近の戦争はサモン?召喚?何かそんな魔法とやらが使われてるみたいでよ、それで時々坊主みたいなのが他の世界?とやらから流れてきちまうんだってよ、カァー、嫌な時代だねぇー!」

ーー栗色の髪、黒というにはやや色素の薄い目、肌の色・服装。この地域に住んでいるには明らかに「異端」どう見ても「別の世界」の人であることを確信し声をかける。
その予想は正解である、男は優しい目をして語り続ける。

「カァー、そこで俺の出番ってわけよ。俺はそういう迷い人相手に仕事をしてるってこと、まずはここはどこなのかって言うことを説明が必要だろ?俺も散々聞かれて来たからな、先に答えちまったほうが後々楽でな。まあ聞けや坊主?」

「この地域を俺達は『ムバリジア』って呼んでる、俺もここを全部歩いたってわけじゃないから詳しいことまでは説明できねえが一つだけわかってることがあるんだよ。」

「この地域は今、2つに別れて戦争をしちまってる。それも何年続いてるかわからねえ位長い戦争だ、なんせ俺の親父の親父の代から続いてるって話だし俺の親父の親父もその親父から聞くって位長い戦争をしちまってる。」

「で、だ。あるときどっかの魔法使いが考えちまったんだな『召喚魔法』ってやつを。」

「この召喚魔法ってのが『他の世界』から戦士や魔法使い何かを呼び出して戦わせるっちゅー魔法だって話だったんだが」

「ここで失敗しちまった。」

「召喚魔法とやらで呼び出しちまったのはお前みたいな戦う力のないもの、もしくは」
「異形の怪物、俺達は『モンスター』って呼んでる。そんな奴らを呼び出しちまった」

「なのに戦争は終わらなかった、なぜだかわかるか坊主?ああ、わかるわけねえな?」
「モンスターを『殺す』と『恵み』があったんだってよ!」
「とあるモンスターはなぜか殺すと金貨になり、また別のモンスターを倒すと貴金属や鉄なんかの鉱物資源、果ては剣や鎧何かまで出てきやがるようになっちまったんだってよ!」
「モンスターを倒すことで潤った2つの国は今も戦争をやめずに戦い続けてるってこと・・・あ?魔法?お前魔法の無いところから来たのか?珍しいな、ちょっと待ってろよ。」

ーそう言うと男は、指を立て呟く。
周りに聞こえるように、されど目の前の人間に聞かれぬように。

「我の手先を水気と化して押しとどめる『固く、固く、固く』」

ー男がつぶやき終わると指の先で水球が浮いていた。
「とまあ、ざっとこんなもんよ。この世界の人間は大なり小なり『魔法』って言うのが使える詠唱がいるもの、要らないもの。強力なもの、弱いもの様々だ。俺はこれくらいしかやらないけどなっ!」

ーペチンッ
ー水球が鼻先に当たる、あたった瞬間に水球は弾け顔に掛かってしまう。

「ははは、なあにタダの魔法の説明さ。お前さんもこの世界に来たら1つ2つ魔法が使えるようになるから安心しろよ、使える魔法が無いからいじめられたなんてことは無いからよ。」

「で、だ。ここまでで何か聞きたいことはあるか?」
「・・・俺が誰かって?さっきも言っただろう?お前らのような迷い人相手の仕事だって。」

ー視界が、急に歪む。
「一つ言っておかなきゃ成らないことがあってな、この地域は戦争とモンスターの恵みが会って成り立ってやがる、皮肉なことにな。」
「だがそれには『強さ』ってのが必要になっちまうんだ、腕っ節、魔力、人たらし、金。全部『強さ』ってやつさ。」
「そして俺にはこういう仕事が合っていて、これが俺の『強さ』って奴さ、役得と言い換えてもいい。カァー!嫌になるね毎度毎度こんな説明をしながら水気を打ち込む仕事ってのはよ」
「まあ、お前みたいな奴は十分『使える』から今日の成果は十分だ、ありがとう『お嬢ちゃん』」

ー意識が、消える。

ー通名、道標<サインバンディット>
ー名前、ロサリオ
ーここまでで43人の迷い人を『使い』生計を立てている男。
ー彼女が、44人目。

ここは、そんな世界でのお話。

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